トップページ > 皮膚病理へのいざない > 3. 電子顕微鏡でミクロの世界を観てみよう
3. 電子顕微鏡でミクロの世界を観てみよう
1)アミロイド(Amyloid)
アミロイドは、光顕的にコンゴ赤やダイロンにて染色するのが一般的ですが、その染色性は100%保証されているわけではありません。やはり最終的に電顕で確認するのが確実とされます。図のように、分岐しない直径6~10nmの直線状の線維構造が認められれば、アミロイドと確認できます。
2)メラニン顆粒(Melanin granule)
無色素性悪性黒色腫の病理組織診断は非常に難しいと言われます。メラノソームを確認すれば、色素細胞への分化が証明されますので、診断の大きな手がかりになります。図(無色素性悪性黒色腫)のように、未熟なメラノソームを確認できるのは電顕だけです。
3)バーベック(Birbeck)顆粒
ランゲルハンス細胞を確認するには、免疫組織化学的にCD1aやS100蛋白を染めるのが一般的になっていますが、やはり微細構造的マーカーであるバーベック顆粒の存在を証明するのが確実です。図(ランゲルハンス細胞)の様なテニスラケット状のバーベック顆粒が認められれば、ランゲルハンス細胞と同定することは容易です。
4)有芯顆粒(Dense-core granule)
メルケル細胞は、免疫組織化学的にCK20をマーカーにすることが多いのですが、時に染色性が一定しないため、やはり電顕的にメルケル細胞に特異的な神経内分泌顆粒(図)の存在を証明することが、その同定に確実です。
5)X線微量分析(EDX analysis)
電顕上で微量元素分析が可能です。図はミノサイクリン色素沈着症の透過電顕像ですが、細胞内の電子密な顆粒部分をEDX分析することで、特徴的な鉄のピークを得ました。
鳥取大学医学部にはX線微量分析の可能な、走査型電子顕微鏡と最新式の透過型電子顕微鏡が備わっており、いつでも分析可能で、診断や研究に威力を発揮しております。