入局希望者へのメッセージ
皮膚科の勧め
皮膚は生体を守る最前線(インターフェイス)にある人体最大の臓器です。外界からの様々な有害作用との攻防の結果、発疹という「かたち」で症状が現れ、さらに内臓疾患の存在により、それが皮膚症状として反映されることもあります。刻々と変動する発疹を、我々はリアルタイムで目撃できます。このようなダイナミズムは皮膚科でなければ味わえません。また皮膚科には、五感のみでわずかな手がかりから、皮膚の悪性腫瘍あるいは内臓に潜在する重大疾患を極めて早期に発見する、という独特の醍醐味があります。些細な皮膚症状から重篤な疾患を早期に診断するということは、皮膚科では日常茶飯事行われています。
対象となる疾患を客観的かつ科学的に正確に捉え、得られた所見から病態をロジカルに把握することが重要ですが、皮膚科はこの科学的思考過程を重要視する科であり、また最もそれを実践できる科です。
皮膚科の対象
皮膚科では全身の表皮から真皮、皮下脂肪組織に至るまで、非常に広い守備範囲を持っています。また新生児から高齢者まで男女を問わず、最初の肉眼的診察から、病理組織学的診断、そして薬物治療から外科的治療まで、一つの皮膚疾患について一貫して診療することができます。特に外科も内科も手がけたいという欲張りな方にはうってつけの科です。また、内臓疾患と密接に関連した皮膚疾患も多く、内臓も含め広い範囲を診てみたい人にも最適の科です。
教室の臨床教育の目標
当教室では、医療技術に優れかつ倫理的に秀でた優秀な臨床医を育てることを目標に、特に後期研修およびそれ以降の皮膚科専門医を目指すための臨床教育に力を入れております。一般皮膚科医として必要かつ十分な知識が得られる教育体制を敷いておりますが、特に(1)皮膚病理組織学的な知識を背景にした皮膚科医、(2)皮膚外科医、(3)臨床皮膚悪性腫瘍医を目指す若い方にはさらなる活躍の場がある教室と自負しております。
皮膚科診断の基本は目の前にある皮疹を的確に把握することですが、そのためには皮膚臨床と同様形態学がその中心となる病理組織学の知識が必須です。当科の臨床教育は、この病理組織像を徹底的に学び理解することにより皮疹および病態を把握することに重点を置いております。また山陰に多い皮膚癌に対処すべく、皮膚腫瘍の診療・研究を推進しておりますが、そのために手術のできる人材の教育および確保に努めております。また癌の先進的な総合診療を行うため、静岡がんセンターと交流をはかり、人材育成に努めております。現在病理組織学的知識を背景にした外科的治療の確立により、多くの手術を手がけております。術後の再建にも力を入れており、今後はがんセンターや形成外科・皮膚外科診療施設での一定期間の研修を推進(いわゆる国内留学です)することで、さらに高度な手術手技の導入をはかる予定です。また、全国的に手がける人材が枯渇してきている感染症にも力を入れており、真菌学の臨床研究に力を入れております。
教室造りの基本
自由闊達な雰囲気の中で、のびのびと臨床・研究の腕を磨くことのできる教室造りに邁進しております。私自身他学の皮膚科学教室出身で、やる気さえあれば出身大学や出身研修病院は全く問いません。他地域の病院で幅広く研修を積んできた人材も歓迎いたします。もちろん他科からの転身をはかりたい方も大歓迎です。
興味のある方は、具体的には「新入教室員(医員)募集」を是非ご覧下さい。